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人生の中で、船乗りとして自分が船で働くとは誰が予想したか? 私だって船で働くなんて夢にも思っていなかったけど、人生ってわからないものよね。しかもエーゲ海で船乗りをするとは。当時はギリシャという国がどこにあるかも、よくわかっていなかった。それに何語を話すのかも(笑) でも、アメリカにいた時、「クルーズ客船で働く」というスタイルを知り、なんだか私、絶対船で働いてみたい!って思ったのよね。その一年後、私はギリシャに飛んだ。自分が乗る船の事など、よくわからなかったけど、とりあえず船で仕事がしたい、という...
続きを読む≫ 2014/07/14 12:06:13 メイン
私の船乗り仕事の第一号となった船は船体がきれいなネイビーブルーに白と黄色のラインがペイントされていた。うぅ~ん、見た目は古そうだけど、きっと中は改築されてるかも、と思いながら乗船。そうしたら、やっぱり中も古かった(笑) でも古いと言ったら、かわいそう。もちろん綺麗に掃除されているし、どこピカピカに磨かれている。でもやっぱり、私がアメリカで乗ったクルーズ客船とは雲泥の差(笑) 設備も古くて、まさにオールドファッション。そして、あとから同僚に聞くと、この船はもちろん中古船で、いろんな国の船会社を渡り...
続きを読む≫ 2014/07/14 12:06:34 メイン
船上の仕事にも慣れてきた数ヵ月後、事件が勃発した。お客さんは船が寄港地に停泊している時は、外出していて、日中の船内にはお客さんは残っておらず、ガラガラ。そんな時に、私たち乗組員は船上でのあらゆる事態に備えて予行訓練を行う。そして事件が起きた日も予行訓練の日だった。中古船であってもセキュリティ体制は完璧。防水ドアや防火ドアも閉めての大きな訓練。特に防水ドアはとても重くて分厚い、大きな音を立てながら閉まっていく。もちろんお客さんも少なからず残っているので、お客様のエリア以外の乗組員エリアのみの扉を閉...
続きを読む≫ 2014/07/14 12:06:54 メイン
避難訓練は乗組員は絶対全員参加。だけれど、そのクルーは体調不良かなにかで欠席していたらしい。そして防水ドアが大きな音を立てて閉まっていたのに、通れると思い通ろうとしたところの事故だった。実際、ドアが閉まっていくスピードは目で見るよりも速い。船医が駆けつけたのだけど手遅れで、クルーは残念ながら帰らぬ人となってしまった。でも、私たちクルーはお客様の前では平常心。笑顔で寄港地から帰ってきたお客さんを迎え、対応する。船で働くことが初めてだった私、そしてこのような体験なんて映画でしかありえないと思っていた...
続きを読む≫ 2014/07/14 12:07:12 メイン
そして無事にその年の仕事を終え、冬に日本に帰国した。その後、同僚からメールで、私たちが乗った船は売りに出されたことを聞かされ、やっぱり・・・と納得。そしてクルーズシーズンが始まる1ヶ前に、船会社の人事からメールが来た。「今年は○月○日からシーズンんが再開よ。もちろん今年もよろしくね。ちなみに、なふてぃこが乗る船は中古船だけど、とても綺麗で素敵よ~やっとリノベーションが終わったから。」だって。やっぱりね、次も中古船なんじゃん。次に乗る船はどんないわく付きの船なのかしら。船を見るまでのお楽しみだけど...
続きを読む≫ 2014/07/14 12:07:32 メイン